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| あるワインの物語 |
| 1942年秋、その日事務所に電話が入り、一通の手紙を受け取った。内容証明の意味ありげな中身にはこう書いてあった。 ボルゲリのサラブレッド用の牧場はそなたが相続された。相続人マリオ・インチーザ・ロケッタ公爵。 ティレニア海に面するトスカーナ州マレンマ地方のボルゲリ、この土地はやっと雑草が生える程にやせていた。 太陽だけはよく当たるこの土地、サラブレッド飼育に将来は無い土地であった。 高貴なワイン作りを夢見ていた公爵は、早速地質調査に乗り出した。 土地の性格は、フランス種のカベルネ・ソーヴィニオンなら可能性がある、その程度だった。 「葡萄の苗木を分けてほしいのですが?」意を決し、翌年、ボルドーの名門ラフィット・ロートシルトの門をたたいた。 幻のワインはやがて「スーパートスカーナ」としてイタリアワインの歴史を覆すこととなる。 |
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